【特集】『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』燦々SUN×『クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった』たかたスペシャル対談 スニーカー文庫のラブコメが熱い!

独占インタビュー「ラノベの素」。今回は『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』、そして『クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった』より、燦々SUN先生たかた先生の対談をお届けします。『ロシデレ』は2024年夏にアニメが放送され、アニメ第2期の制作も決定。『クラにか』は2026年TVアニメ化が決定しており、多くのファンが続報を楽しみにしています。今回はスニーカー文庫のラブコメを牽引するお二人にご登場いただき、それぞれの作品の魅力や1対1ラブコメだからこそ気になるヒロインと主人公の誕生秘話など、様々にお話をお聞きしました。

 

 

燦々SUN先生×たかた先生 対談

 

 

・燦々SUN

『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』にて2021年に作家デビュー。刊行直後から大きな話題を呼び、約4ヶ月で第1巻が単巻10万部を突破したほか、第2巻では『涼宮ハルヒの溜息』と同じ初版発行部数での制作されるなど、大きな話題を呼び続けている。2024年夏にはアニメ第1期が放送され、アニメ第2期の制作も決定している。

 

・たかた

第4回カクヨムWeb小説コンテスト「大賞(ラブコメ部門)」を『年上エリート女騎士が僕の前でだけ可愛い』にて受賞し、2019年に作家デビュー。その後、2021年に『クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった』を刊行した。シリーズとしてじわじわと話題を呼び続け、2026年のアニメ化も決定した人気作品となっている。(過去のインタビューはこちら

 

 

――今回はスニーカー文庫のラブコメ作品を牽引するお二人にご登場いただきます。よろしくお願いします。

 

燦々SUN:よろしくお願いします。

たかた:よろしくお願いします。

 

 

――まず、燦々SUN先生はラノベニュースオンライン初登場となります。自己紹介からお願いしてもよろしいでしょうか。(※たかた先生のインタビュー記事はこちら

 

燦々SUN:角川スニーカー文庫で『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』を連載させていただいている燦々SUNと申します。2017年から「小説家になろう」で書き始めたので、執筆歴は7年ほどでしょうか。主に短編を書いていて、『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』ももともとは短編でしたが、担当編集の夏川さんに見出だしていただき、長編シリーズ化しています。短編畑で活動していたのは、「このシチュエーションを書きたい」や「こんなキャラクターを書きたい」と思い浮かんだアイデアを形にしていく上で、すごく書きやすかったからですね。好きなものは世のオタクが一般的に好きなものはだいたい好きです(笑)。

 

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん

 

 

――燦々SUN先生とたかた先生は顔を合わせたこともあるとうかがっているのですが、当時の印象をそれぞれ教えていただけますでしょうか。

 

たかた:初めてお会いしたのが、2024年末のKADOKAWAの謝恩会でしたよね。

燦々SUN:そうですね。

たかた:その時に少しだけお話させていただいたんですけど、燦々SUN先生は初めて謝恩会に参加されたとのことで、前年の2023年はどうしたんですかって聞いたと思います。

燦々SUN:2023年は『ロシデレ』関連で、夏川さんと一緒にシンガポールに行ってたんですよ。なので、僕と夏川さん二人とも欠席していたというお話をさせていただきましたね(笑)。

たかた:燦々SUN先生の周りには本当にたくさんの人が集まられていて、長くお時間を取ってしまうのも申し訳ないなと思い、軽いやり取りだったと思います(笑)。

 

 

――となると、ほとんど初対面に近い感じでもあるわけですね。ちなみにお二人はお互い作品についてどの程度ご存知ですか。

 

たかた:『ロシデレ』に関しては発売直後に読ませていただきました。書籍の刊行前から注目度も高かったですし、王道のストーリーラインに真っ直ぐなヒロインと主人公、人気が出そうな雰囲気をかなり感じていました。やっぱり秀逸だなと感じたのが、タイトルにもある「ボソッとロシア語でデレる」という部分。このギミックは他作品ではなかなか見られなかった部分だと感じていて、より面白さに拍車をかけたと思いますし、多くの読者の方に受け入れてもらえるきっかけになったのかなと感じてます。

燦々SUN:ありがとうございます。『クラにか』については漫画の方を重点的に読ませていただいているのですが、シンプルに等身大の高校生を書いているなって感じてます。友人関係や家庭環境の悩み、あの年齢の子供が感じていそうな心の機微がすごく瑞々しくて、人気のきっかけになっているのかなと思います。どちらかと言うと『ロシデレ』は登場人物が大人びているので、「学生の未熟さはこういう感じだよね。でもそれがいいんだよね」っていう気持ちにすごくさせてくれる作品だなと感じます。

 

クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった

 

 

■自分たちは令和の高校生を書こうとしているわけではない

――お二人とも高校生の主人公とヒロインのラブコメを書かれているわけですが、高校生の少年少女を描く上で大切にしていることや気を付けていることはありますか。

 

たかた:基本的には自分の感覚に頼っている部分が大きいですね。特に『クラにか』は高校生という立場よりも、「そのキャラクターだから」という視点でお話作りをしています。なので、物語全体の9割はフィクションで、1割か0.5割が実体験に基づいて書いている感じでしょうか。

燦々SUN:そうですね。僕もたかた先生に似ていまして、高校生にフォーカスしてキャラクターを書こうとしているわけではなく、そのキャラクターを掘り下げようと思って書いています。なので先ほども言ったように、高校生にしては大人びているキャラクターが多かったりもするわけです。たかた先生のおっしゃられた9割方フィクションにも同意です。

たかた:実体験から描くのはどうしても難しいですよね。自分は学生時代、友達や家庭に関する問題はあまりなかったですし、そうなると物語に反映できるものも多くないわけで。そういう意味でも技術的に気を付けようと意識している点は少なくて、あくまでキャラクターを考えながら、って感じになるのかなと思います。

燦々SUN:僕はキャラクターに関してはいくらか実体験を踏まえているほうかもしれません。大なり小なりありますけど、どのキャラクターにも「自分に似ているな」という部分はあります。アーリャも政近も有希も、綾乃は……ないかもしれないですけど(笑)。

たかた:あと、「高校生」っていうことで言うと、今の高校生が使っているガジェットやツールはあまり意識してなかったりしますね。自分はそれこそ、一昔前の高校生をイメージして書いている感じではあって。もちろん作品の中で、彼ら彼女らは流行りみたいなことをやっているのかなとは頭の片隅で考えはしますけど、具体的な描写はしていかないんじゃないかなと。今の高校生じゃない自分が、今の高校生を書こうとしても難しいと感じるんですよね。燦々SUN先生はどうですか。

燦々SUN:たかた先生への共感が止まらないですね(笑)。僕も今の令和の高校生に合わせて書こうという意識を持ってないんですよ。やっぱり僕らが「今の高校生」をわからない以上、取り入れたとしてもどこかで無理が出てくると思うんです。どんなに勉強したって、僕らは本物の高校生にはなれないわけで。

たかた:確かに。

燦々SUN:若者言葉もその最たるものだと思っていて、「チルい」って言葉があるじゃないですか。あれを自分で書こうとしても「チルいってなに?」って真っ先に思っちゃう。当然年代の違う読者の方も「んん??」ってなると思うんですよ。なので、無理をしてまで合わせるメリットがないのかなって感じてます。どの時代でもある程度普遍的なイベントやツールを使って、広い年代に通じるような話作りをしようと考えていますね。

 

クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった

 

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん

 

 

■『ロシデレ』はアニメ第2期決定、『クラにか』は2026年アニメ化決定

――書き手に合った物語作りの大切さを感じますね。両作品のアニメのお話もお聞きできればと思うのですが、『ロシデレ』は昨夏にアニメ第1期が放送されました。あらためて当時を振り返っていただけますでしょうか。

 

燦々SUN:本当に素晴らしいアニメにしていただいた、というのが率直な感想です。出来上がりはもちろんなんですが、スタッフやキャストのみなさんが、本当にたくさんのことを考えながら製作に携わってくださったんだなと思っています。放送以降、キャストやスタッフの方のインタビューもたくさん公開されましたが、その原稿を拝読しながら、制作陣の考えていたことや「そんなことまでやっていたの!?」というスタッフの存在まで、いろいろと知ることができました。アニメの第2期についても、すべての作品がやっていただけることではないので、本当にありがたいことです。第1期以上に襟を正して臨まないといけないなと感じています。

 

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん キービジュアル第2弾

 

たかた:ちなみに燦々SUN先生は、アニメにも結構しっかりと関わられていたんですか。

燦々SUN:原作者が関与できるところは、すべて参加していたと思います。脚本会議、主要キャストのオーディション、アフレコもリモートがメインでしたけど参加していました。

たかた:なるほど。自分もアニメに関しては、一通り関わっているイメージではあって、もちろんこれからもいろんな企画まわりのお仕事が入ってくると思うんですけど、発表や放送を待っていく形になるのかなと。ちなみにアニメの放送中、また放送後など、キツかったり大変だったりしたことってありましたか。

 

クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった

 

燦々SUN:アニメ関係で大変だった部分だと、僕はアフレコに参加するのが結構大変でしたね。アフレコが毎回金曜日の16時からで、兼業作家の自分としては、平日の会社勤めと丸被りしていて。そうなると、どうしたって時差出勤するしかなく、その日は早く出社して早く退社する生活を送っていました。それでも時間ギリギリで、退社しながらリモートを繋いでイヤホンを繋いで、移動しながら参加することも多かったです。公共交通機関に乗っている最中は喋ることもできず、音響の方から「テキストでメッセージを送ってください」みたいなやり取りをしていました。あとそれ以上に大変だったのがグッズ関連ですね。アニメが始まるとすごく増えるので、その監修がなかなかに大変なんですよ。毎日のように何かしらの確認が飛んできますし、それにあわせて原作の執筆もあるわけで、本当に大変でした。

たかた:いろいろ参考になってありがたいです。

燦々SUN:たかた先生はアニメの放送を待っている身だと思うんですけど、不安とかありますか。

たかた:そうですね……。アニメ化された作家さんから聞いたんですけど、アニメのアフレコの時や打ち上げの時に、必ず原作者はみんなの前で挨拶をしなくちゃいけないと。自分は人前でしゃべるのがめちゃくちゃ苦手なので、嫌だなって思いながら聞いていたんですけど(笑)。やっぱりそういう機会ってありますよね?

燦々SUN:そうですね。僕もアニメの打ち上げの場で「先生からご挨拶をいただければと思います」って話を振られましたね(笑)。

たかた:実際にどんなことをしゃべったのか参考にしたいです(笑)。

燦々SUN:それでは秘策を伝授しましょう。第一声でロシア語をしゃべるんですよ。これはマジでやりました(笑)。

たかた:終業式のアーリャのシーンの再現じゃないですか(笑)。

燦々SUN:そうです(笑)。「緊張のあまりロシア語をしゃべってしまいました」って。みんな優しいんで笑ってくれました。とはいえ、これだと全然参考にならないですね(笑)。ちょっと真面目な話をすると、僕も人前に出て話すのは得意ではないんです。ただ、一発何かしらのネタを仕込んで、笑ってもらえると緊張は解けるのかなと思います。なので、掴みで笑いを取りに行くのはアリなんじゃないかなと。スベっても責任は持てませんが(笑)。

たかた:ハードルがちょっと高い(笑)。とりあえず時間はもう少しあるので、いろいろと考えてみようと思います。でもやっぱり、しゃべる機会って増えるんですね。

燦々SUN:僕の場合、アニメ制作の中では然程多いわけではなかったと思うんですけど、ありがたいことにイベントがたくさんありました。シンガポールの時もお客さんが1000人くらいいたんですけど、ステージで挨拶をしたり、サイン会で挨拶をしたり。笑いは常に取りにいってました(笑)。

たかた:爆笑は呼べましたか(笑)。

燦々SUN:毎回ジャケットを着て現地に行くんですけど、その内側にアーリャのTシャツを着るんですよ。そしてお客さんの前でジャケットを開けてキャラTシャツを見せるっていうネタを毎回やってました(笑)。そういう意味でもキャラTシャツは結構使えますよ!

たかた:『クラにか』にはまだキャラTシャツがないので、今のうちに作ってもらわないといけないですね(笑)。

 

 

――人前で常に笑いを取りに行く姿勢は、燦々SUN先生の強心臓っぷりをうかがわせるエピソードです(笑)。

 

燦々SUN:それでも学生時代は人見知りだったんですよ。大学入学時に初めて同級生と顔を合わせた時、「ここで友達……せめてLINEの交換ができないとぼっちが確定する」と思って、全力で両隣の人とLINEの交換をしました。なんとか成功はしたんですけど、その帰り道に手が震えっぱなしでしたからね(笑)。コミュ障がコミュ力を全開にするとこうなるんだっていう体験をしまして。そこからマジックを嗜むようになり、ステージに立つ機会を強制的に増やした結果、ある程度しゃべれるようになった感じです。

たかた:自分も頑張りたいですね(笑)。

 

 

■燦々SUN先生「ラブコメジャンルで生き残ろうという考えはなかった」

――続いてそれぞれラブコメを題材にした作品を執筆しようと思ったきっかけについてお聞きしてもよいでしょうか。燦々SUN先生は短編からですし、たかた先生は前回のインタビューで「WEBでの流行や書籍化を狙った」という主旨のお話をされていましたよね。

 

たかた:『クラにか』に関しては以前のインタビューでも触れましたが、本作以前に書いていた作品が力及ばず打ち切りになってしまい、このまま終わるのは嫌だという気持ちが強かったんですよね。なので、最初から商業化を視野に入れて、自分の好きなキャラクターやシチュエーションを考えながらラブコメ作品を書こうと思ったのが始まりでした。

燦々SUN:僕の場合はラブコメを書きたいと思ったわけではなく、短編を書くネタのひとつでしたね。相手に伝わらないと思っている言語でデレて、「ふふん、何もわかってない」ってニヨニヨするヒロイン可愛くない?って。たまたまその時のネタを短編にしたらラブコメになった感じなんですよ。

 

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん

 

 

――物語としての走りはそれぞれありながら、両作品とも2021年に第1巻が刊行されたました。ちょうどそのタイミングは、ラノベ業界でも7冊に1冊がラブコメ作品という空前の大ラブコメ時代に突入していた時期でもあったのですが、ライバルとなる作品が非常に多い市場をどのように見られていたんですか。

 

燦々SUN:僕は正直、他作品と比べてどう生き残っていこう、みたいなことはほとんど考えていなかったです。もちろん書籍化する以上、売れる作品にしなくちゃいけないんですけど、戦略的な部分は完全に担当編集の夏川さんに頼っていた印象があります。たとえば、短編時のアーリャは典型的な男女問わず人気なリア充女子みたいなキャラクターでした。でも書籍化をする際、「今人気があるのはお高い女子です」というお話を聞かされたんです。正直今でも「お高い女子とは?」っていう感覚ではあるんですけど、自分なりに解釈した結果、出来上がったのが孤高のお姫様のようなアーリャだった(笑)。結果それがウケましたし、夏川さんから受けた提案を自分の中に落とし込みながら執筆を続けていますね。

たかた:自分も他の作品と差別化ができているかというと、そういうわけではないかなと感じます。執筆時に一番可愛いと思ったキャラクターであったり、やりたいと思ったストーリーを繋げていって、運が良ければ前に出られるかなって感じで見ていました。最初から「これは売れる」っていう感覚はなかったですね。

 

 

――『ロシデレ』も『クラにか』も、広い意味で主人公とヒロインのラブコメを描く「1対1ラブコメ」ですよね。主人公とヒロインの関係性やシチュエーションは、どんなことを考えながら執筆されていたんですか。

 

たかた:自分は最初から恋愛的な関係でいくよりも、友達なのか、それとも恋人なのか、中途半端な関係性というシチュエーションが書いていて楽しそうだなと考えました。特に自分は、キャラクターありきでストーリーを展開しているので、主人公とヒロインがお互いに成長していく姿は見据えていました。商業を狙っていたという観点からも、第1巻や第2巻に相当する部分で何を描くかはかなり考えていましたね。第1巻では友達関係で悩む海を真樹が助け、その結果真樹が成長する。第2巻では家族関係で悩んでいる真樹を海が助けて、その関りの中で海が成長する。お互いに成長し合いながら絆を深めていく見せ方を意識していました。

燦々SUN:僕の場合はより特殊で、そもそも恋愛をメインに書くつもりがそこまでないんですよ。先ほども触れた通り、ラブコメを書くつもりで短編を書いていたわけではないですし、長編の執筆経験もそこまでありませんでした。最初から高校生の甘酸っぱい恋愛模様だけで長編を書くのは、無理だなと思ってたんです。なので、恋愛以外の部分にメインストーリーを置こうと考えました。パッと思いついたのは部活。でもスポーツにするとスポーツものになってしまうし、音楽にしてしまうと音楽ものになってしまう。であれば生徒会をメインにして、生徒会長を目指す話にしよう。そこから、ヒロインと主人公の関係性について考えていったと思います。ツンデレ×お嬢様の掛け合わせで孤高のお姫様となったアーリャがデレる相手って、いったいどんなキャラクターなんだろうなと。

たかた:自分も主人公の真樹を考える時、海というヒロインから逆算する形で考えたので、少し近い感じがしますね。

燦々SUN:そうですね。アーリャが孤高のお姫様である以上、当然その相手は有能でなければならない。でも単純に有能なだけでは、ライバル関係になってしまう。となると、有能でだけどアーリャとは違った方向性への有能さが必要なんじゃないか。単純に勉強やスポーツができるとかではなく、アーリャの苦手とする対人関係で有能さを発揮するキャラクターがいいのではと考え、政近というキャラクターが出来上がりました。最終的に、努力が苦にならない秀才であるアーリャに対して、努力ができない天才という政近を設定したんです。そうしてアーリャが自分の苦手とする対人関係を政近に補ってもらい、政近は努力ができなくなってしまった自分を精神的に導いてくれるアーリャを頼るという構図ができあがりました。

たかた:多くのラブコメ作品は、ヒロインから主人公を逆算しているケースが多いのかもしれないですね。海というキャラクターをどんな主人公だったら幸せにしてくれるだろうか、『クラにか』も考え方は一緒なので、親近感が湧きます。

 

 

■文武両道の優秀なヒロイン二人は友達になれるか?

――ヒロインであるアーリャ、そして朝凪海は二人とも文武両道で優秀さが際立つ印象を受けます。性格としては孤高のアーリャ、和に重きを置く海と違いこそありますが、もし二人が交わる世界線があったとしたら、どんな関係性を築けそうでしょうか。

 

たかた:お互いに成績優秀で共通する部分もありますし、アーリャは真っ直ぐな女の子なので、仲良くはやっていけるんじゃないかなと思います。

燦々SUN:まずは二人に会話が生まれるかどうかですよね。アーリャがあんな感じなので、天海夕が間に入って、海とアーリャを引き合わせてくれれば友達になれると思います(笑)。

たかた:確かに間に入ってくれる子がいるかどうかは重要かも(笑)。海に関しては、夕との出会いもそうでしたけど、自分から手を差し伸べていけるタイプではあるので。アーリャに対しても、友達になりたいと思うなら、察知して手を差し伸べる気はします。

燦々SUN:アーリャはなんだかんだ友達を欲しがっていますし、根っこがチョロいんで(笑)。海みたいな良い子であれば、友達になれると思いますよ。

 

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん

 

 

――アーリャも朝凪海も、このラノのキャラクター投票企画で上位にランクインするなど、読者人気が非常に高いですよね。具体的にはどんなところが刺さっていると感じますか。

 

燦々SUN:第三者目線で『クラにか』の方を触れさせてもらうと、等身大の高校生らしさをすごく読んでいて感じるわけです。海に関しても、大人っぽく振る舞おうとしているんだけど、未熟さが垣間見える。そこから見える可愛さが、刺さってるんじゃないかなと思いますね。

たかた:ありがとうございます。アーリャは燦々SUN先生もおっしゃってましたけど、普段は孤高の美少女でありながら、心を許している政近に対しては、少し甘えてみたり、強がってみたりしてるじゃないですか。加えて有希に対して、嫉妬心や対抗心も垣間見せる。人間として等身大に思い悩む女の子の顔を見せてくれるヒロインだと思うんですよ。そういった時折見せる可愛さが、読者さんに好まれている部分なのかなと思いますね。

燦々SUN:ありがとうございます。

たかた:海に関しては、優等生キャラはアーリャと似ている部分で、夕に対しては一歩引きつつ、クラスのまとめ役みたいなところがある。海も自分の中のわがままさや人間らしい部分を内側にはちゃんと持っているし、真樹の前では素の部分をさらけ出すので、可愛い部分も垣間見える。奥にある人間性の部分で、読者の方には好意的に見ていただけているのかなと思います。

燦々SUN:アーリャは多少亜種みたいなところはありますけど、みんなやっぱりツンデレが好きなんだなって思いますね(笑)。ツンデレって最近は若干ネタ扱いされている気がするんですよ。「〇〇じゃないんだからね!」に対する反応が、「はいはい、ツンデレツンデレ」みたいな感じで、生暖かく見守られる対象になっているというか。それでも表面上厳しいことや辛辣なことを言うけど、好意が見え隠れするヒロインは、なんだかんだみんな好きなんだなって(笑)。

 

クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった

 

 

■たかた先生「影のある主人公が好きで……真樹には申し訳ない気持ちも」

――そんな魅力的なヒロインの隣に立つ前原真樹と久世政近の二人にも触れさせてください。この二人も海とアーリャ同様に、良好な関係性を築けると思いますか。

 

燦々SUN:一緒にゲームをやれば友達になれるんじゃないですか(笑)。

たかた:――(笑)。

燦々SUN:とはいえ真面目な話、二人とも両親が離婚している者同士で、家庭環境には少し暗い部分を背負っているわけじゃないですか。そういった部分に踏み込んで話せる仲になるかというと、そこは難しいイメージがあります。お互い気を遣って、そういう話にはならなさそうなんですよね。

たかた:うーん、もしかしたら意外とお互いに干渉し合わない感じになりそうな気もしますよね。真樹もかなり人のことを見るタイプなので……。ゲームとか気の合う部分はあるので、友達にはなれると思いますが、内側に抱えたものを吐き出し合える深い関係値を築けるかというと、そこまでの道のりは長そうな雰囲気を感じます。

 

クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった

 

 

――二人とも両親が離婚しているという背景が一緒で、自分のことは自分でやれる自立した能力を持っていることも特徴かなと思います。設定や背景についてはどのように考えられたのでしょうか。

 

燦々SUN:政近はヒロインからの逆算で、努力ができない天才として設定しました。両親の離婚話まわりについては、有希というキャラクターの逆算から生まれた関係性なんですよね。有希はアーリャの対抗馬として考えたわけですけど、最初は幼馴染設定でした。ただ、幼馴染にしてしまうと負けヒロイン感が強くなり、生徒会の選挙戦など、読者からしても展開が読めやすくなってしまうことを危惧したんです。なので、幼馴染と書いて妹にしてしまえばと考え、実際には妹だけど学園では幼馴染、その要件を満たすには苗字が違わないといけない。そこから両親の離婚という出来事に繋がり、関係性が生まれました。なので、両親の離婚は政近のメンタルに暗い影を落としているのは確かなんですけど、離婚を起因にして自立したというわけではないですね。単純に僕が、「主人公が秘密や影を背負っているシチュエーション」を好んでいて、そんな主人公にヒロインが寄り添うシチュエーションが好きだったりもするので(笑)。

たかた:真樹については、両親が離婚している最中、揉めている姿を間近でずっと見てきました。父親と母親、どちらの苦労も知っているからこそ、わがままを言えない感じだったんですよ。ついでに言うと、自分も燦々SUN先生と同じで影のある主人公が好きですね(笑)。真樹に影の部分があって、それをきっかけに海と関係を深めていく。そういうシチュエーション面での好みで言うと、真樹に対して申し訳ない気持ちがゼロではなかったりもします(笑)。

 

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん

 

 

――そして1対1ラブコメの物語を彩る上で、三人目のフィクサー的存在は非常に重要だと思うのですが、お互いにそれぞれの作品の欠かせない三人目を選んでいただいてもよいですか。

 

燦々SUN:やっぱり天海夕なんじゃないですかね。彼女の行動力というか、コミュ力になるんですかね。とにかくいろんなキャラクターと関係を繋いでいるわけじゃないですか。一方で、彼女に悪気はないんでしょうけど、そういった部分が海の心にも若干の影を落としている。一番である彼女の輝きが海に影を落として、そんな海に真樹が寄り添っていくという意味でも、夕なしに『クラにか』の物語は動かなかったんじゃないかなという思いもあります。三人目を選ぶとすると、天海夕がフィクサー的存在なのかなと感じますね。

 

クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった

 

たかた:自分はわかりやすく、周防有希でいいんじゃないかなと(笑)。政近というキャラクターの背景には、有希の向こう側にある周防家の存在も大きいわけじゃないですか。政近がいろんなものを抱えるきっかけになっていると思いますし、有希がいるからこそ、政近が今のような形になったということもわかる。もちろん、有希はいいキャラしているなって思いますし、ストーリーを引っ掻き回してくれる存在としても優秀ですよね。マーシャとめちゃくちゃ悩みましたけど……序盤で考えれば有希になるのかなと思います。

 

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん

 

 

■ラブコメムーブメント再点火の鍵は……?

――ありがとうございます。では少しだけ広めのお話もできればと思うのですが、2021年や2022年の最盛期に比べると、ライトノベルのラブコメジャンルは刊行割合から見てもやや下火になっているかと思います。あらためてラブコメでムーブメントを再点火する作品が出てくるとしたら、どんな作品だと思いますか。

 

たかた:確かに今のラブコメでいうと、やや出尽くした感というか、飽和している感じはあると思います。新しいジャンルというわけじゃないですけど、ひとつ前あたりの、いろんなヒロインが登場するヒロインレースを見てみたいというのは、自分が書いてみたいという思いも含めてあるかもしれません。とはいえ、『ロシデレ』自体がラブコメの新境地だったと感じていた部分はあるので、王道ストーリーとロシア語でデレるヒロインという掛け合わせのような、ラブコメを書いている人間が思わず膝を打つような作品が出てくると、また大きなムーブメントが起こってくるんじゃないかなと思います。

燦々SUN:個人的に感じている部分として、今書籍化されている作品って、一対多のハーレムものなのかなと感じてます。第1巻の表紙にヒロインが3人とか4人とか描かれているものも多いと思うんですけど、僕は逆に難しさを感じてしまう。その手の作品ですごく成功しているのが、漫画の『五等分の花嫁』だと考えているんですけど、それぞれにたくさんの推しが付いているじゃないですか。ああいったハーレムラブコメで、第1巻からすごくファンを獲得できる作品が出てこないかなとは思っています。どうしても第1巻ではヒロインA、第2巻ではヒロインB、第3巻ではヒロインCという見せ方になりがちじゃないですか。だけど1巻目からヒロイン全員にファンがつく作品が出てきたら、時代はまた大きく変わるんじゃないですかね。

たかた:燦々SUN先生はそういった作品を書かないんですか(笑)。

燦々SUN:僕では書けないですね。基本的に主人公モテモテの作品は書かないので(笑)。

一同:――(笑)。

 

 

――もうひとつ、こんなジャンルの作品が流行ってほしい、或いは読みたいといったものがあればぜひ。

 

たかた:自分はコミックを結構読むことが多くて、『ふつうの軽音部』とか『ぼっち・ざ・ろっく!』のような、音楽系の作品がもっとたくさん出てきてほしいなと思います。ラノベでもそういった題材で出版されている作品がないわけではないんですけど、漫画やアニメと比べてしまうと、読者に広く受け入れられているイメージが薄いんですよね……。盛り上がってほしいなと思います。

燦々SUN:ライトノベルで流行ってほしいのは、ローファンタジーですかね。本当にこの現実世界を舞台にしたファンタジーものって、すごく減っている気がするんですよ。異世界ファンタジーはいくらでも出てくるので、そういったローファンタジーで爆発的なヒットを飛ばすような作品が出てきてくれると嬉しいです。

 

 

――そして『クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった』第7.5巻が発売となりました。たかた先生にはあらためて内容について紹介をお願いします。また、5月末には『アニメガイド 征嶺学園生徒会活動報告書』の発売が予定されています。誌面には燦々SUN先生のインタビューも収録されているとのことで、どんなお話をされたのか教えてください。

 

たかた:第7.5巻は短編集ということで、これまで書き下ろさせていただいた専門店さんの特典や、いろんな企画で出させていただいたSSが全体の半分ほど収録されています。加えて、朝凪海、天海夕、新田新奈、3人の視点で新たに中編を書き下ろしました。第7巻の流れを引き継いだ短編を書きたいと思っていたので、夕と新奈のページは多めに取らせていただいています。キャラクターとしての掘り下げを意識して執筆したので、ぜひ楽しんでいただければと思います。

燦々SUN:僕のインタビュー自体は、今回お話させていただいた内容と一部被っているところもあるのですが、やっぱり注目していただきたいのはアニメ製作の裏側です。スタッフのみなさんやキャストのみなさんが、どんな思いで本作に携わっていただいていたのか。インタビューでかなり書かれているので、ぜひ読んでいただきたいなと思います。

 

クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった7.5

 

 

――それでは最後にファンの皆さんに向けてメッセージをお願いします。

 

燦々SUN:次は小説第10巻、そして先にはなりますけど、アニメ第2期も控えております。それぞれ楽しみにしていただきながら、変わらずついてきていただけるとありがたいなと思います。僕も全力で『ロシデレ』の世界を紡いでいきます。第10巻は……今夏にお届けできるよう頑張ります!

たかた:『クラにか』は今後、アニメが一番大きなお知らせになっていくと思います。みなさまにはもう少しお待ちいただく形になるとは思うんですけど、アニメ製作のスタッフの方々、キャストの方々、全員で『クラにか』をいい形でお届けできるよう頑張っている最中なので、楽しみにしていただけたらと思います。原作もだいぶ前にストーリーは折り返していて、少しずつ終わりに向かって進んでいます。最後まで走り抜けられるよう頑張っていきますので、読者の方々にも見届けていただければ嬉しいです。

 

 

――本日はありがとうございました。

 

 

<了>

 

 

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<取材・文:ラノベニュースオンライン編集長・鈴木>

 

©Sunsunsun,Momoco/KADOKAWA/Alya-san Partners

©たかた・KADOKAWA/クラにか製作委員会

©燦々SUN/KADOKAWA スニーカー文庫刊 イラスト:ももこ

©たかた/KADOKAWA スニーカー文庫刊 イラスト:日向あずり

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TVアニメ『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』公式サイト

『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』原作特設サイト

『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』公式SNS

TVアニメ『クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった』公式サイト

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『クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった』公式SNS

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