【レポート】『神懸かれ、キラーチューン。』のリアルイベント「―序奏― ”決起会”」の模様をお届け 新作の著者・担当編集・読者が集った異例のイベントに
電撃文庫刊『神懸かれ、キラーチューン。』のリアルイベントが、2026年6月28日(日)に神楽座で開催された。本作は『三角の距離は限りないゼロ』や『あした、裸足でこい。』などを手掛ける岬鷺宮氏の最新作で、絶大な人気を誇る音楽ユニットが突然発表した専属ギタリストオーディションを舞台に、たったひとつの椅子を奪い合う――「才能」を証明するための物語として、第1巻が6月10日(水)に発売された。このたび新シリーズとしては異例のイベントとなった「『神懸かれ、キラーチューン。』リアルイベント ―序奏― ”決起会”」第1部の模様をお届けする。
イベントはKADOKAWA富士見ビル内にあるイベント会場「神楽座」にて開催された。本イベントは第1部、第2部ともに30名という定員のもと、無料で募集が行われ、枠は1時間と待たず埋まったという。イベント当日は台風の予報などで一時は開催も危惧されたが、幸いにも大きな影響はなかった。作品としても担当編集である佐藤氏が、面白さをどうしても伝えたいがために、SNSの個人アカウントを立ち上げたことでも話題となり、さらに作品の発売前には1巻全文を試読できる企画も行われ、700名以上が参加するなど大きな注目を集めていた。そして気付けば、新作発売の約1ヶ月後にトークショー&サイン会のリアルイベント開催を実現したわけである。

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【第1巻あらすじ】 絶大な人気を誇る音楽ユニット・FUKASHIGI(フカシギ)。突如発表された、専属ギタリストのオーディション開催は、世間を沸き立たせた。集められたのは、100人の才能溢れる女性ギタリストたち。圧倒的な演奏技術を持つ者、独自の作曲センスを放つ者、既にヒットチャートに君臨する者まで。……その隅でひとり、膝を抱えて震える少女がいた。水巻長閑。基礎のFコードすら弾けない彼女は、どう見ても場違い。しかし彼女は、『上手さ』では説明できない才能を隠し持っていた。「漫画は面白いのが正義。お菓子は美味しいのが正義。なら音楽は――」これは、人生を投げうち、たった一つの椅子を奪い合い、『才能』を証明するための――彼女らだけの物語だ。 |
会場ビル1階のスペースでは展示パネルにフォトスポット、さらには作中で水巻長閑が使用しているギター「DANELECTRO」の実物も展示された。フォトスポットでは実際の書籍を手に持ちながら写真を撮影する参加者の姿も見られた。
イベントはトークショーから始まり、壇上には著者である岬鷺宮氏と、担当編集の佐藤氏の二人が登壇。「デビュー当時から、いつか読者と会ってみたいと思っていた」と心境をSNSで綴っていた岬鷺宮氏は、一度座るもすぐに立ち上がり、ひとりひとりの顔を見ながら来場者へ感謝の意を伝えていた。トークショーは、事前に寄せられた質問に答える形で実施。第1部のテーマとなったのは「“音楽を題材にする”という挑戦について」、「タイトルの由来は?」、「作品を書くにあたって、どのように物語を組み立てますか?」、「物語を作る際に一番大事にしていること」の4つ。作品のことについてはもちろん、創作における考え方にも質問が及ぶなど、幅広いテーマが扱われた。
もともと作家になる前はバンド活動に従事し、デビューもしていた岬鷺宮氏。10年以上本気で音楽と向き合い続けるも、生活の一部であったその音楽を諦めた経験からも、題材として扱うには大きな葛藤があったという。一方で、本作執筆のきっかけは明確にあったそう。仲の良い作家友達の西条陽氏からの「そろそろ音楽ものを書いた方がいいのでは」という一言に加え、「音楽と青春という組み合わせ以上に、バトル要素があった方がいいと思う」という言葉に説得力を感じたと振り返った。「バンドものという話だけでは書いていなかった」とも回顧しつつ、運命的な何かを感じて執筆に踏み切ったそうだ。作品タイトルについては「命令形+名詞」で行こうという方向性は最初からあったとのこと。バンド時代に経験した「うまいじゃない音楽の良さ」を表す言葉として「神懸かっている」という感情をチョイス。タイトルの勢いも大事にしたいという結果、『神懸かれ、キラーチューン。』に決まったエピソードも披露された。
また、創作に関する質問にも答えた。物語の組み立て方においては、いっぱい好きなものを摂取して、構造を分析していくこと。なぜ自分は感動したのか、なぜ自分は面白いと感じたのか。たくさんのインプットと共に構成を書き出しながら、自らの糧にしてきたと岬鷺宮氏は語った。そして物語を作る上で大事にしていることについては「全力を出すこと」を作家として生き残るため、コスパを一切考えずに取り組んできたこととして明かした。一方で、全力を最初から最後まで出し切ることが、作品にとって良いかどうかは別の話だと感じることもあるといい、不安や課題感を感じている点についても触れていた。そして「これまで作家としての個性をあまり出そうとしてこなかった」と振り返った岬鷺宮氏。本作においてはその個性が、強く詰まっている作品として届けていきたいという気持ちを言葉の端々から感じることができた。最後に岬鷺宮氏は「この作品を最高傑作と言えるようにすること」を目標として掲げ、佐藤氏も「いい形で届け切ることが至上命題であり、そのための決起会だ」と語った。
トークショーが終わると壇上の二人はサイン会準備のため一度降壇。すると会場ではコール&レスポンスの練習時間が設けられた。「神懸かれ」のコールに「キラーチューン!」と来場者が応え、本番のコール&レスポンスにあわせて二人が再登壇。もう一度、岬鷺宮氏のコールに来場者が応え、大きな盛り上がりを見せた。
続いてサイン会がスタートし、一人ずつ岬鷺宮氏と会話を交わしながら書籍へサインが行われていく。時々笑い声が漏れ聞こえてくるくらいに、1対1のトークは盛り上がっていたようで、とても和やかな時間となった。また、サインが終わると同じく壇上にいた担当編集の佐藤氏より記念品も手渡し。著者だけでなく、担当編集とも言葉を交わす時間があり、参加者にとっては貴重な機会となっていた。
2ヶ月連続刊行となる『神懸かれ、キラーチューン。』第2巻は、電撃文庫より2026年7月10日(金)に発売される。著者、編集者、そして読者が一体となって大きな熱を生み出している『神懸かれ、キラーチューン。』をこの機会にぜひ読んでみてもらいたい。
©岬鷺宮/KADOKAWA 電撃文庫刊 イラスト:美和野らぐ

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